産業医紹介サービスの2タイプ|仲介型と直接契約型
産業医を探す手段として最も一般的なのが、産業医紹介サービスを利用する方法です。サービスは大きく仲介型と直接契約型の2タイプに分かれます。費用構造・対応スピード・契約後の柔軟性に違いがあるため、まず2タイプの特徴を整理します。
仲介型(マッチング型)
独立した産業医のデータベースから、企業の要件に合う医師を紹介するモデルです。紹介会社はマッチングと契約管理を担当し、産業医本人は別の医療機関や個人事業主として活動しているケースが大半です。
- メリット: 候補医師の数が多く、地域・業種・経験で柔軟に選べる
- デメリット: 月額料金の20〜30%が紹介料として上乗せされる傾向。アサインされた医師の対応品質に依存する
直接契約型(自社内産業医)
自社内に認定産業医を抱え、企業と直接契約を結ぶモデルです。仲介を介さないため紹介料・仲介料が発生しません。当社「All in one 産業医」もこのタイプです。
- メリット: 紹介料が発生しないためコスト効率が高い。サービス提供者と産業医が同じ組織のため、対応品質に一貫性がある
- デメリット: 候補医師数は仲介型より少ない場合がある。地方の対面対応に制約がある場合はオンライン対応で補完
大手7社の特徴比較表(2026年版)
業界で広く知られている大手7社を整理しました。費用・特徴は2026年5月時点の公開情報および当社調査に基づきます(最新情報は各社公式サイトでご確認ください)。
| サービス名 | タイプ | 費用感(嘱託) | 主な強み |
|---|---|---|---|
| ドクタートラスト | 仲介型 | 月7万〜15万円 | 大手企業導入実績多数、ストレスチェック標準対応 |
| エムステージ | 仲介型 | 月6万〜12万円 | 全国カバー、医師ネットワークが広い |
| メディカルトラスト | 仲介型 | 月6万〜12万円 | 関東圏中心、製造業実績 |
| アドバンテッジRM | 総合EAP | 個別見積 | EAPと一体提供、上場企業向け |
| エムスリーキャリア | 仲介型 | 月7万〜13万円 | 医師DBが大規模、医師バリエーションが豊富 |
| メディカルバンク | 仲介型 | 月5万〜10万円 | 中小企業向け、地方対応 |
| All in one 産業医(当社) | 直接契約型 | 月5.5万円〜 | ベンチャー特化、紹介料0、IPO対応、Slack即時相談 |
※ 上記費用は嘱託契約(月1回訪問)を前提とした参考値です。実際の見積額は事業場規模・業務範囲・地域により変動します。
7社それぞれの特徴と向き不向き
各社の特徴を、客観的な観点から整理します。どのサービスにも得意領域・苦手領域があり、自社課題との相性で選ぶことが重要です。
ドクタートラスト
業界最大手の一角。大手企業・上場企業の導入実績が豊富で、ストレスチェック実施もワンストップ対応。費用感は中〜上位帯で、メンタルヘルス領域の研修プログラムも充実。向き: 上場企業・準大手の安定運用。不向き: 月額予算を抑えたい初期スタートアップ。
エムステージ
全国の医師ネットワークが広く、地方拠点でも対面対応可能な医師が見つかりやすい。中堅クラスの企業導入実績多数。向き: 全国に複数拠点を持つ企業。不向き: 紹介料抜きの最安値プランを求める企業。
メディカルトラスト
関東圏を中心に展開。製造業・物流業の実績がある。向き: 関東圏の製造業・物流。不向き: 関東外の単独拠点企業。
アドバンテッジRM
EAP(従業員支援プログラム)大手で、産業医とEAPカウンセリングを一体提供するモデル。費用は個別見積で、相対的に高価格帯。向き: EAP込みで包括的に体制構築したい大手企業。不向き: 産業医のみを契約したい中小・ベンチャー。
エムスリーキャリア
医師向け人材サービス大手のm3グループ。登録医師DBの規模が大きく、業種・専門領域でのマッチング選択肢が広い。向き: 専門性の高い医師を指名したい企業。不向き: 紹介料を抑えたいコスト重視企業。
メディカルバンク
中小企業向けに比較的手頃な価格帯で展開。地方対応にも力を入れる。向き: 地方中小企業の入門契約。不向き: Slack即時対応など先進的な運用を求めるIT企業。
All in one 産業医(当社)
ベンチャー・スタートアップに特化した直接契約型サービス。紹介料・仲介料0で月額55,000円〜のライトプランから提供。Slack/chatworkでの即時相談、IPO対応、英語対応、全国オンライン対応に対応。導入100社・面談5,000件以上の実績。向き: ベンチャー・スタートアップ・成長企業。不向き: EAPや健康保険組合機能まで含めて包括的に外注したい大手企業。
選び方の優先順位|業界経験>費用>対応速度>拠点
7社の中から1社を選ぶときに、何を最優先すべきか。当社の実務知見からは業界経験>費用>対応速度>拠点カバーの順で評価することをおすすめします。
第1優先:業界経験
同じ「ベンチャー50名」でも、IT・SaaSと製造業ではメンタル課題の傾向、職場巡視のチェック項目、コミュニケーションスタイルが大きく異なります。自社業界での経験があるかが、契約後の満足度を最も左右します。安く契約しても業界知識のない医師では、結局「使えない契約」で終わります。
第2優先:費用
業界経験が同等の候補が複数ある場合、次に費用比較を行います。「月額料金」だけでなく、追加料金体系・最低契約期間・解約条件を含めたトータルコストで比較します。仲介型と直接契約型の費用差は年間数十万円規模になることがあります。
第3優先:対応速度
面談依頼から実施までのリードタイム、Slack/chatworkでの即時相談の可否、緊急時の即日対応の可否を確認します。月1回訪問型のサービスでは、急なメンタル不調者対応で1週間以上待たされることがあり、現場の不満につながります。
第4優先:拠点カバー
本社1拠点のみであれば優先度は低いですが、地方拠点・複数拠点を持つ企業では一括契約・全国オンライン対応の有無が重要です。事業場ごとに別契約だと管理コストが膨張します。
「業界経験」を確認する具体的な質問
各社に問い合わせる際、以下の質問で業界経験を測定できます。
- 当社と同業種(例:SaaS)での産業医契約は何社ありますか?
- 当社と同規模(例:50〜100名)の企業を担当した実績はどれくらいですか?
- 担当いただく予定の産業医の、業界別の経験を教えてください
直接契約型のコスト優位性とその理由
仲介型と直接契約型の費用差はなぜ生まれるのか。コスト構造の違いを整理します。
仲介型のコスト内訳(月額10万円の場合)
- 産業医本人への報酬:約6〜7万円
- 紹介会社の手数料・運営費:約3〜4万円
- 合計:10万円
つまり月額の30〜40%が中間コストとして上乗せされている計算です。
直接契約型のコスト内訳(月額5.5万円の場合)
- 産業医本人への報酬:5万円前後
- サービス運営費:5,000円程度
- 合計:5.5万円
仲介手数料が発生しない分、同等の業務範囲を低価格で提供できる構造です。
「安かろう悪かろう」ではない理由
直接契約型が安いのは中間マージンを削減した結果であり、産業医の質を下げているわけではありません。むしろ自社雇用の産業医を活用するため、サービス提供者が医師の実務をコントロールでき、対応品質の一貫性が保ちやすい構造です。
仲介型が向いているケース
もちろん仲介型にもメリットはあります。「特定地域での対面対応が必須」「特定の専門医を指名したい」場合、仲介型のデータベースが活きます。一方、ベンチャー・スタートアップで標準的な業務範囲をカバーしたい場合、直接契約型のコスト優位性が際立ちます。
サービス選定の進め方ガイド
7社から1社を選ぶ際の、実務的な進め方をまとめます。
Step 1:自社要件の整理(1週間)
従業員数、業種、課題の優先順位、予算上限、希望コミュニケーション手段を文書化。産業医の選び方|失敗しない8つのチェックポイントのチェック項目を活用してください。
Step 2:3〜5社へ並行問い合わせ(1週間)
仲介型2〜3社+直接契約型1〜2社の組み合わせで、見積もり・提案書を取得。1社に絞らず比較することが重要です。
Step 3:候補医師との初回面談(2週間)
各社が提案する産業医本人と30〜60分の面談を実施。選び方記事に記載の質問例で、業界経験・対応スピード・コミュニケーション姿勢を確認します。
Step 4:契約条件の最終比較・決定(1週間)
業務範囲・料金・追加料金・解約条件を一覧化して比較。最も総合点の高いサービスと契約締結。費用感の詳細は産業医の費用相場もあわせて確認してください。
Step 5:契約締結・労基署届出(1週間)
契約締結後14日以内に「産業医選任報告」を所轄労基署へ提出。初回訪問・初回衛生委員会のキックオフ。
標準で合計5〜6週間を見込みます。50人到達の3ヶ月前には選定を始めるのが現実的です。