「50人の壁」で発生する5つの法的義務
常時雇用する労働者が50名を超えると、以下5つの義務が発生します。「常時雇用」には正社員に加え、週1日以上勤務するパート・アルバイトも含まれるため要注意です。
- 産業医の選任(労働安全衛生法第13条)
- 衛生管理者の選任(同法第12条)
- 衛生委員会の設置(同法第18条)
- ストレスチェックの実施(同法第66条の10)
- 定期健康診断結果報告書の提出(労基署への報告義務)
これらの義務は、選任・設置から14日以内に労働基準監督署への届出が必要です。怠ると後述する罰則の対象となります。
14日以内に行うべき手続きチェックリスト
従業員が50名を超えた当日から、以下の手続きをスケジュール化して進めます。
Day 1〜3:状況確認と方針決定
- 現在の常時労働者数を正確に確認(パート・アルバイト含む)
- 事業場が複数ある場合、各事業場ごとの人数も確認
- 産業医導入のプラン・予算の検討開始
- 衛生管理者の社内候補者を選定
Day 4〜7:産業医探し・面接
- 産業医紹介サービスへの問い合わせ(複数社比較推奨)
- 候補医師との面談(オンラインも可)
- 業務範囲・料金プランの確定
- 契約内容の確認
Day 8〜12:契約・社内体制整備
- 産業医との契約締結
- 衛生管理者試験合格者の選任(または受験手配)
- 衛生委員会のメンバー選定・運営方針決定
- 就業規則・産業保健規程の整備
Day 13〜14:労基署への届出
- 「産業医選任報告」を所轄労働基準監督署へ提出
- 「衛生管理者選任報告」を所轄労働基準監督署へ提出
- 初回衛生委員会の開催日決定(毎月1回以上の開催が義務)
産業医の選任要件と探し方
産業医として選任できる医師の要件
産業医として選任できるのは、以下のいずれかの要件を満たす医師に限られます。
- 労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修を修了した医師(日本医師会認定産業医)
- 産業医の養成課程を修了した医師(産業医科大学卒業者など)
- 労働衛生コンサルタント試験の保健衛生区分に合格した医師
- 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授・准教授の経験者
- 厚生労働大臣が定める者
産業医の探し方3パターン
産業医を探す方法は大きく3つあります。
1. 紹介会社経由:もっとも一般的。紹介料が月額に上乗せされている場合が多く、月額3万〜10万円が相場。
2. 知人医師への直接依頼:知り合いに認定産業医がいれば直接依頼可能。ただしベンチャー特有の課題に対応できるかは不明。
3. 直接契約型サービス:当社のように自社内の認定産業医が対応するサービス。紹介料が発生せず、月額55,000円〜の最安値水準で提供可能。
衛生管理者・衛生委員会の設置
衛生管理者の選任
50名以上の事業場では、衛生管理者免許を保有する者を1名以上選任する必要があります。常時労働者数によって必要人数が変わります。
- 50〜200名:1名以上
- 201〜500名:2名以上
- 501〜1,000名:3名以上
- 1,001〜2,000名:4名以上
衛生委員会の設置・運営
衛生委員会は毎月1回以上の開催が義務付けられています。委員には以下を含める必要があります。
- 議長(事業者の代表が指名する者)
- 衛生管理者
- 産業医
- 労働者の中から事業者が指名する者(半数は労働者代表の推薦)
ストレスチェックの実施義務
50名以上の事業場では、年1回のストレスチェックが義務化されています。実施は産業医または医師等が担当し、結果を労基署へ報告する必要があります。
ストレスチェックの流れ
- 実施計画の策定(衛生委員会で審議)
- 労働者への調査票配布・回収
- 結果の集計・分析
- 高ストレス者への面接指導の案内
- 労基署への結果報告
当社のスタンダードプランでは、このストレスチェック実施から面接指導まで全てお任せいただけます。
違反した場合の罰則
産業医選任義務に違反した場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります(労働安全衛生法第120条)。また、労働基準監督署からの是正勧告・指導の対象にもなります。
さらに、上場審査を控えている企業にとっては、労務コンプライアンス違反として大きなマイナスとなります。「あとで対応すればいい」では遅いため、50名超えの兆しが見えた時点で、早期に体制構築を進めることをお勧めします。