読了 約11分 日本医師会認定産業医監修

ストレスチェック2028年義務化|50人未満が今から準備すべきこと

この記事のポイント(30秒で読める要約)

ストレスチェックは現行50人以上が義務ですが、2028年ごろに50人未満を含む全事業場への義務化が予定されています(施行時期・方法は最終確定前)。50人未満では実施者(医師・保健師)の確保が最大の課題で、産業医契約とセットの外部委託が現実的。標準57項目調査票での早期着手が義務化対応コストを抑える鍵です。

この記事の目次

  1. 2028年予定のストレスチェック義務化|50人未満への拡大の動向
  2. 現行の「努力義務」と義務化後の「実施義務」の違い
  3. 50人未満の企業が今から準備すべき5つのこと
  4. 実施体制の作り方|自社実施と外部委託の比較
  5. ストレスチェックの費用相場と50人未満で抑えるコツ
  6. 産業医・保健師の関わり方|中小企業での活用ポイント

2028年予定のストレスチェック義務化|50人未満への拡大の動向

ストレスチェック制度は、2015年12月の労働安全衛生法(以下、安衛法)改正で導入されて以来、常時50人以上の事業場にのみ年1回の実施が義務づけられてきました。50人未満の事業場は「努力義務」にとどまっていましたが、この区分が大きく変わろうとしています。

厚生労働省の検討会では、メンタルヘルス不調による労災請求が中小・小規模事業場でも増加していることを背景に、従業員数にかかわらず全事業場でストレスチェックを義務化する方向で議論が進められてきました。これを受け、2024年から2025年にかけての法改正論議のなかで、2028年(令和10年)ごろの施行を念頭に置いた50人未満事業場への適用拡大が示されています。

なぜ50人未満まで拡大されるのか

制度導入当初に50人以上で線引きされた理由は、安衛法上の産業医・衛生委員会の設置義務が「常時50人以上」を基準としており、実施体制を担保しやすかったためです。一方で、日本の事業場の大半は50人未満であり、働く人の多くが制度の対象外という状態が続いていました。メンタル不調は事業規模を問わず発生するため、「小規模だから対象外」という線引きの合理性が問われてきたのが拡大の背景です。

注意:制度の最終形は確定前。最新は公式情報で確認を

本記事執筆時点(2026年6月)では、50人未満への義務化の具体的な施行時期・実施方法・経過措置は最終確定していません。実施頻度や調査項目の簡略化、小規模事業場向けの支援策などは、今後の政省令・指針で詳細が定まる見込みです。導入準備を進める際は、厚生労働省や所轄の労働基準監督署、産業保健総合支援センター(さんぽセンター)の最新情報を必ず確認してください。本記事は「先取りで準備を始める」ための実務ガイドとしてお読みください。

現行の「努力義務」と義務化後の「実施義務」の違い

50人未満の事業場にとって、いちばん大きく変わるのが「努力義務」から「実施義務」への格上げです。両者の違いを整理しておきましょう。

努力義務と実施義務の比較

項目現行(50人未満=努力義務)義務化後(予定)
実施の位置づけ「実施するよう努める」(任意)「実施しなければならない」(義務)
未実施の扱い行政指導の対象になりにくい是正指導の対象になり得る
実施体制整備していない企業が多い実施者・実施事務従事者の確保が必要
労基署への報告報告義務なし取扱いは今後の省令等で確定予定

現行のストレスチェック制度では、50人以上の事業場であっても未実施に対する直接の罰則は設けられていません。ただし、毎年の実施結果報告書の未提出は労基署の是正指導の対象となり、メンタル不調による労災が発生した場合には安全配慮義務(労働契約法第5条)違反のリスクが高まります。義務化されると、50人未満でもこのリスク構造が同様に適用されることになります。

「常時50人」のカウントは現行どおり押さえておく

義務化の対象を考えるうえで、現行の「常時50人」の数え方も理解しておくと移行がスムーズです。正社員だけでなく、週1日以上または月8時間以上働くパート・アルバイトも含めた人数を、事業場(同一の物理的な勤務場所)単位でカウントします。50人未満であっても、複数拠点の合計では多くの従業員を抱えるケースは珍しくありません。ストレスチェック制度全体の仕組みはストレスチェック制度とは|実施義務・流れ・産業医の関わり方で詳しく解説しています。

50人未満の企業が今から準備すべき5つのこと

義務化の最終形が確定する前でも、いまから着手できる準備は数多くあります。スタートアップ・ベンチャーのように数十人規模で急成長する企業は、50人到達と同時に対応が後手に回りやすいため、先取り準備の価値が特に高い領域です。

1. 調査票の方式を決めておく

厚生労働省が推奨する標準形式は「職業性ストレス簡易調査票」(57項目版)です。これは「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3領域から構成されます。より簡略な23項目版も認められており、小規模事業場では運用負荷の低い方式を選びやすくしています。まずは標準の57項目版を基準に検討するのが無難です。

2. 実施者・実施事務従事者の確保を見込んでおく

ストレスチェックの「実施者」は医師・保健師などの資格者に限られ、「実施事務従事者」は人事権を持たない担当者である必要があります。50人未満の企業では社内に有資格者がいないことがほとんどのため、外部委託または産業医・保健師との契約を前提に体制を描いておくとスムーズです。

3. 結果の取り扱いルールを先に整える

ストレスチェックの個人結果は本人の同意なく事業者へ提供できません。これは従来の健康診断結果と決定的に異なる点で、誤って人事担当者が個人結果を閲覧すると法令違反になります。誰が結果に触れてよいか、保存方法、同意取得の手順を文書化しておきましょう。

4. 高ストレス者対応の流れを想定しておく

ストレスチェックの結果、全労働者の概ね10〜15%が高ストレス者と判定されるのが一般的です。本人の申し出があれば医師(産業医)による面接指導につなぐ必要があるため、申し出窓口と面接指導の依頼先を事前に決めておきます。

5. 衛生委員会がなくても「実施計画」を作る発想を持つ

50人未満では衛生委員会の設置義務はありませんが、義務化後は「いつ・誰が・どの方式で・どう結果を扱うか」を定めた実施計画に相当するものが必要になります。簡易な実施要領を1枚作るだけでも、運用の抜け漏れを防げます。

実施体制の作り方|自社実施と外部委託の比較

50人未満の事業場がストレスチェックを実施する場合、大きく「自社実施」と「外部委託」の2つの選択肢があります。中小企業では外部委託が現実的なケースが多いものの、それぞれの特徴を理解して選ぶことが重要です。

自社実施と外部委託の比較

観点自社実施外部委託(産業医・専門会社)
実施者の確保社内の有資格者が必要(小規模では困難)委託先の医師・保健師が担当
個人情報の管理社内で完結するが運用設計の負担大委託先が分離管理しやすい
高ストレス者面接別途、産業医等の手配が必要面接指導までワンストップにしやすい
コストシステム費等で変動1人あたり単価+面接費が中心
運用の手間大きい小さい

50人未満で社内に医師・保健師がいない場合、実施者の確保が最大のハードルになります。産業医契約とストレスチェック実施をまとめて委託できれば、実施から高ストレス者面接指導までを一気通貫で運用でき、担当者の負担を大きく減らせます。

50人未満でも、ストレスチェック実施者対応をまとめて

当社「All in one 産業医」では、産業医契約に標準でストレスチェック実施者対応を含めています。実施から高ストレス者面接指導まで、月額50,000円〜(税抜)のミニマムプランから対応可能です。

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ストレスチェックの費用相場と50人未満で抑えるコツ

ストレスチェックの費用は、調査票の方式(紙/Web)、対象人数、高ストレス者面接指導の有無、集団分析の有無によって変動します。小規模事業場では、この変動要素を絞ることでコストを抑えられます。

費用の主な内訳

50人未満では受検人数が少ないため、1人あたり単価が割高になりやすいのが実情です。これを抑えるには、産業医契約とセットにして実施者対応を契約に含める、Web方式で運用負荷を下げる、集団分析は人数がまとまる段階まで段階導入する、といった工夫が有効です。

初年度は「実施すること」を最優先に

義務化に向けた初年度は、完璧な運用を目指すより「標準形式で確実に実施する」こと自体を最大の目標に据えるのが現実的です。57項目の標準調査票・厚労省の標準判定基準でシンプルに実施し、2年目以降に集団分析や職場改善を段階的に強化していくと、定着率と効果が高まります。費用全体の考え方は産業医の費用相場もあわせてご覧ください。

産業医・保健師の関わり方|中小企業での活用ポイント

50人未満の事業場では産業医の選任義務はありませんが、ストレスチェックの義務化を見据えると、産業医・保健師との契約が運用の要になります。資格者でなければ担えない業務が制度の中核にあるためです。

産業医・保健師が担う中核業務

小規模事業場向けの公的支援も選択肢

50人未満の小規模事業場に対しては、各都道府県の産業保健総合支援センター(さんぽセンター)の地域窓口が、ストレスチェックや面接指導に関する相談・支援を提供しています。また、産業保健活動を支援する助成制度が用意される場合もあります。こうした公的支援の内容・要件は年度によって変動するため、最新の情報は各センターや公式サイトで必ず確認してください。

義務化を「コスト」でなく「投資」と捉える

ストレスチェックの義務化は、確かに新たな実務負担をもたらします。しかし、メンタル不調の早期発見は休職・離職に伴う採用・教育コストの抑制につながり、特に一人ひとりの貢献度が高いベンチャー・スタートアップでは経営インパクトが大きい施策です。義務化前のいまから体制を整えておくことが、結果的にコスト最小で対応する近道になります。

当社「All in one 産業医」では、月額50,000円〜(税抜)のプランからストレスチェックの実施から高ストレス者面接指導・集団分析・職場改善までをトータルで支援できます。「2028年予定の50人未満義務化を見据えて、いまから準備したい」「何から手をつけるべきか分からない」という企業様は、まず無料相談をご利用ください。

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よくある質問

Q. ストレスチェックは2028年に50人未満も義務化されるのですか?
A. 50人未満を含む全事業場への義務化が、2028年ごろの施行を念頭に検討されています。ただし施行時期・実施方法・経過措置は本記事執筆時点で最終確定しておらず、今後の政省令・指針で詳細が定まります。最新情報は厚生労働省や所轄労基署、産業保健総合支援センターでご確認ください。
Q. 50人未満の会社は今から何を準備すればよいですか?
A. 「調査票の方式(標準57項目版が無難)」「実施者・実施事務従事者の確保」「個人結果の取扱いルールの整備」「高ストレス者対応の流れの想定」「簡易な実施要領の作成」の5点から着手するのが現実的です。社内に医師・保健師がいない場合は外部委託や産業医契約を前提に体制を描いておくとスムーズです。
Q. 努力義務と実施義務では何が変わりますか?
A. 努力義務は「実施するよう努める」任意の位置づけですが、義務化されると「実施しなければならない」となり、未実施が是正指導の対象になり得ます。メンタル不調による労災が起きた場合の安全配慮義務違反リスクも、50人未満で同様に高まります。
Q. 50人未満でもストレスチェックの費用に使える助成はありますか?
A. 過去には小規模事業場の産業保健活動を支援する助成制度が設けられたことがありますが、制度の有無・要件・支給額は年度ごとに変動します。最新の取り扱いは労働者健康安全機構や各都道府県の産業保健総合支援センター(さんぽセンター)でご確認ください。

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