読了 約11分 日本医師会認定産業医監修

ストレスチェック制度とは|実施義務・流れ・産業医の関わり方を完全解説

この記事のポイント(30秒で読める要約)

ストレスチェック制度は労安法に基づき常時50人以上の事業場で年1回実施が義務。2028年からの全事業場義務化が見込まれています。実施者は医師・保健師等、実施事務従事者は人事権なしの担当者。職業性ストレス簡易調査票を用い、高ストレス者には産業医面接指導を案内、集団分析を職場改善につなげます。

この記事の目次

  1. ストレスチェック制度とは|2015年制定の概要と目的
  2. 実施義務の対象|50人以上の事業場と2028年予定の50人未満義務化
  3. 実施者・実施事務従事者の要件と役割分担
  4. ストレスチェックの年間運用フロー|計画から報告まで
  5. 高ストレス者への面接指導と事後措置の流れ
  6. 集団分析と職場改善|結果を活かす実務ポイント

ストレスチェック制度とは|2015年制定の概要と目的

ストレスチェック制度とは、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的に、労働安全衛生法の改正により2015年12月に施行された制度です。労働者のストレス状況を定期的に把握し、本人にセルフケアを促すとともに、職場環境改善につなげる「一次予防」の枠組みと位置付けられています。

制度の3つの柱

導入の背景

2010年代に精神障害による労災請求が急増し、過労死等防止対策推進法(2014年)と並ぶ柱として、企業に労働者のストレス状況把握を義務付ける本制度が制定されました。法令上は常時50人以上の事業場で年1回以上の実施が義務化されており、未実施には罰則ではなく是正指導の対象となりますが、実施結果報告は労基署への提出義務があります。

調査票の標準形式:職業性ストレス簡易調査票

厚生労働省が推奨する標準形式は「職業性ストレス簡易調査票」(57項目版)です。3領域の質問で構成されています。

この他、業種別カスタマイズ版(80項目版)や、より簡略化された23項目版も認められています。

実施義務の対象|50人以上の事業場と2028年予定の50人未満義務化

現行制度では、「常時50人以上の労働者を使用する事業場」に年1回以上の実施が義務付けられています。50人未満の事業場は努力義務にとどまっています。

「常時50人」のカウント方法

「常時50人」は正社員だけでなく、週1日以上または月8時間以上働くパート・アルバイトも含めた人数です。事業場単位(同一の物理的な勤務場所)でカウントするため、本社50人・支社30人なら本社のみ義務対象、両社合計80人でも各事業場単位で判定します。詳細は従業員50人を超えたら何をする?もあわせてご覧ください。

2028年予定の50人未満義務化(最新動向)

厚生労働省は2026年現在、2028年(令和10年)からの全事業場義務化に向けた検討を進めています。50人未満の小規模事業場でもメンタル不調が増加していることを背景に、すべての事業場で実施義務化される見込みです。スタートアップ・ベンチャーは数十人規模の段階で早期に実施体制を整えることが、義務化対応コストの削減につながります

実施を怠った場合の影響

実施者・実施事務従事者の要件と役割分担

ストレスチェックの実施には、「実施者」と「実施事務従事者」の2つの役割を明確に分けて運用する必要があります。

実施者の要件

実施者は、ストレスチェックの企画・実施・結果評価を担う中心的な役割で、以下の資格を持つ者に限定されます。

実施事務従事者の役割と要件

実施事務従事者は、調査票の配布・回収・データ入力・結果の出力など、個人結果に触れる事務作業を担います。要件は「人事権を持たない者」であることが必須です。

産業医が実施者となる場合のメリット

自社の産業医が実施者となることで、以下のメリットがあります。

当社「All in one 産業医」では、産業医契約に標準でストレスチェック実施者対応を含めており、外部のチェック実施会社へ別途委託する必要がありません。

ストレスチェックの年間運用フロー|計画から報告まで

ストレスチェックの年間運用は、衛生委員会での計画策定から労基署への報告まで、標準で6〜8ヶ月のスパンで進めます。

標準的な年間スケジュール例

時期主な実施内容
1〜2ヶ月目衛生委員会で実施計画の審議・決定(実施時期、実施者、調査票形式、対象者範囲、結果通知方法)
3ヶ月目実施計画書の作成、労働者への事前説明、ID付与
4ヶ月目調査票の配布・回答(紙またはWebシステム、回答期間2週間程度)
5ヶ月目結果の集計・評価、本人への結果通知
5〜6ヶ月目高ストレス者からの面接指導申出受付、産業医面接指導の実施
6〜7ヶ月目事後措置の検討と実施、集団分析の実施
8ヶ月目労基署への実施結果報告書の提出(毎年実施分は1年以内)

実施計画書の必須記載項目

衛生委員会で決定すべき項目は、厚労省指針で以下のように定められています。

結果の取り扱い:本人同意が大原則

個人別のストレスチェック結果は本人の同意なく事業者に提供することができません。これが従来の健診結果と最も異なる点で、誤って人事担当者が個人結果を閲覧した場合は法令違反となります。本人同意を得る場合も、書面または電子記録で明示的な同意取得が必要です。

高ストレス者への面接指導と事後措置の流れ

ストレスチェックで「高ストレス者」と判定された労働者は、本人の申し出により医師(産業医)による面接指導を受ける権利があります。

高ストレス者の判定基準

標準的な判定方法は、職業性ストレス簡易調査票の3領域スコアを用いた2段階判定です。

厚労省マニュアルでは、上記いずれかに該当した場合に高ストレス者と判定するモデルが示されており、結果として全労働者の10〜15%程度が高ストレス者となるのが一般的です。

面接指導の申し出から実施までの流れ

  1. 本人へのストレスチェック結果通知(高ストレス者の場合は面接指導の案内も同送)
  2. 本人が会社へ面接指導の申し出(申し出期限は通知から1ヶ月以内が一般的)
  3. 会社が産業医へ面接指導を依頼
  4. 面接指導の実施(30〜60分)
  5. 産業医から会社への意見書交付
  6. 会社が事後措置を実施

事後措置の例

面接指導の具体的な進め方とポイントは、高ストレス者面談の進め方で詳しく解説しています。

ストレスチェックの実施から事後措置まで一括対応

当社の産業医がストレスチェック実施者として全工程をサポート。月額55,000円〜のライトプランから可能です。

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集団分析と職場改善|結果を活かす実務ポイント

ストレスチェックを「実施するだけ」で終わらせず、組織レベルの改善につなげるのが集団分析と職場改善です。現行は努力義務ですが、2028年の全事業場義務化と並行して義務化される見込みもあり、早期着手が望まれます。

集団分析とは

部署・チーム・職位など、一定の集団単位でストレスチェック結果を集計し、組織のストレス傾向を把握する手法です。標準的な集計指標として「仕事のストレス判定図」があり、仕事の量的負担と仕事のコントロール度の2軸で各部署のストレス状況を可視化できます。

集団分析実施時の留意点

職場改善への展開ステップ

  1. 集団分析結果を衛生委員会で報告・議論
  2. 課題の大きい部署を選定し、ヒアリングを実施
  3. 改善計画の策定(業務分担見直し、コミュニケーション改善、上司研修など)
  4. 改善施策の実行と進捗管理
  5. 翌年のストレスチェック結果で効果検証

ベンチャーで効果が出やすい改善施策

初めて実施する企業へのアドバイス

初年度は「実施することそのもの」を最大目標に据え、完璧を目指さず標準形式(57項目調査票・厚労省標準判定基準)で運用することが現実的です。2年目以降に集団分析と職場改善を段階的に強化することで、定着率と改善効果が高まります。

当社「All in one 産業医」では、月額55,000円〜のプランからストレスチェックの実施から集団分析・職場改善までトータル支援が可能です。「2028年の全事業場義務化を見据えて、いまから体制を整えたい」「初めての実施で何から手をつけるべきか分からない」という企業様は、まず無料相談をご利用ください。

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よくある質問

Q. 50人未満の事業場でも実施したほうがよいですか?
A. 現行は努力義務ですが、2028年からの全事業場義務化が見込まれています。早期に運用を整えることで義務化対応コストを抑えられ、メンタル不調の早期発見にもつながります。当社では月額55,000円〜のプランから対応可能です。
Q. 実施者と実施事務従事者の違いは何ですか?
A. 実施者は医師・保健師など資格保持者で、企画・実施・結果評価を担います。実施事務従事者は人事権を持たない担当者で、調査票配布や結果出力など事務作業を担当します。
Q. 個人結果を人事担当者が見ることはできますか?
A. 本人同意なく個人結果を閲覧することは労働安全衛生法違反となり、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象です。人事評価権を持つ管理職・人事担当者は実施事務従事者にもなれません。
Q. 集団分析はどの単位で実施すべきですか?
A. 部署・チーム・職位など、10人以上の単位で実施するのが基本です。10人未満は個人特定リスクが高いため対象外とします。

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